『日本語を学ぶ人のためのアカデミック・ライティング講座』は、留学生だけを対象とした教材ではありません。母語が日本語である学生にも、アカデミック・ライティングを多角的に学ぶおもしろさがあります。
伊集院先生が担当されている「書く指導を考える」という授業を見学させていただきました。このクラスでは、日本人の学生と留学生がいっしょに学んでいます。
この日の授業では、第5課と第6課のStep3の課題を Chat GPT に考えさせ、その回答の分析に関してお話がありました。生成AIの台頭を脅威と捉えて全面的に禁止するだけではなく、生成AIの得意・苦手を理解したうえで、教育現場における生成AIとの付き合い方について考えていかなければなりません。
第5課Step3の課題は、レポートの中で「引用」がどのような形で表現されているかを考えること。Chat GPTの回答では、「~と報告されている」「~と提案している」といった表現は抽出されましたが、「この記事によると~とのことである」「~と指摘する声もある」という形の引用文は抽出されませんでした。
また、第6課Step3の課題は、「筆者はこれらの図を用いて最終的にどのような結論を伝えたかったのでしょうか」と論理的な思考力が求められるものです。このような考察が必要な作業は、Chat GPTには難しく、骨の折れる思考力は人間のみが持つものであるということがわかりました。