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    【連載】ソーシャル・メディアをめぐる冒険〈毎月第4金曜日更新〉

    第10回 指導例 「160文字以内でTwitterのプロフィールを書く」

     

    冒険家のみなさん、こんにちは。

    ここまで9回にわたり、ソーシャル・メディアを日本語の授業に利用するための概念などをご紹介してきました。ここからは、具体的に何をどのように教え、どのような活動をすればいいかに関するアイデアをご共有したいと思います。

    今回ご紹介するのは、Twitterのプロフィール欄の書き方です。前にも書いたことがありますが、Twitterは1人で複数のアカウントを作ってもいいですし、実名主義でもありませんので、授業などでは大変扱いやすいメディアです。

    Twitterは基本的にアカウントを作らなくても読むことはできるので、アカウントを作る前に読むだけの活動をすることもできます。しかし、実際にはこうした読むだけの活動をするときにも、お気に入りのユーザーを見つけてフォローしたくなってしまったりするものなのです。ですので、実際に日本語で投稿する方法を教えるのはまだ先にするにしても、まずはアカウントを作り、フォローした相手が自分のプロフィールを確認するときに参考になるように、プロフィールだけは入力してあるという状況にしておきたいと思います。

     

    index

     

     


    入門段階


     

    まず最初に、まだ入門段階の学生に対して Twitter のプロフィールを書くときに必要なことをご紹介したいと思います。入門段階でも、Twitterでよく見かけるスラッシュで区切って単語を羅列するタイプのプロフィールでしたら、辞書さえあればすぐに作ることができます。

    たとえば、僕の場合はこうなるかもしれません。

    日本語教育コンサルタント / カナダ / ハンガリー / エジプト / モンゴル / ベトナム / サウジアラビア / ジョギング / 埼玉 / 二児の父 / ソーシャルメディア / 自律学習 / Chromebook / インラインスケート / ベジタリアン / Kindle /

    これで142文字ですから、上限の160文字までにはまだいろいろ書くことができそうですね。単語の羅列なので、日本語のレベルが低くてもできる一方で、文字数に比べ、充実した内容を盛り込むことができます。もちろん、必要がなければ上限いっぱいまで書く必要はありません。

    ソーシャル・メディアの場合は、他の人とつながることができるところに価値があるので、自分の好きなことなどについても入れるといいと思います。もちろん、アニメやゲームが好きな人はその作品名なども入れておきましょう。そうすれば、同じ作品を好きな人がフォローしてくれるかもしれないからです。

    もし、日本語学習専用のアカウントを作るのでしたら、「勉強垢」という言葉を入れておくのもいい考えだと思います。「」は「アカウント」の略で、ここでは「勉強に使うためのアカウント」という意味になります。

    「カナダ出身」「エドモントン在住」「アニメ好き」のように、単語の後につけるだけでいい簡単な表現を教えるのもいいでしょう。ただし、こうした表現はプロフィールなどに特有の表現であることを注意しておかないと、普通の投稿で「エドモントン在住です」などとしなければならないのに「エドモントン在住。」とだけ書いて、ぶっきらぼうな印象を与えてしまったりする例がよくあります。

    なお、こうした表現を学ぶには、Twitterの検索機能を使うのがとても便利です。例えば「在住」という言葉で検索した後で、「ユーザー」というタブを開くと、以下のリンク先になります。
    https://twitter.com/search?f=users&q=%E5%9C%A8%E4%BD%8F

    ご覧の通り、ユーザー名やプロフィール欄に「在住」という言葉が使われているユーザーだけが表示されています。 ここから、地名と「在住」という言葉がセットになってつながっているものをピックアップしてみると、たとえばこんなふうになります。

    • バンコク在住
    • 名古屋市在住
    • 中国東北地方在住
    • インドネシアの南ジャカルタ在住

     

    在住」という言葉の後に職業立場などを書いている例も以下のようにたくさん見つかります。

    • 中国在住コスプレヤーです。
    • ニューヨーク在住ライター
    • パリ在住日本の父ちゃん
    • 南カリフォルニア在住エンジニア
    • ドイツ在住26歳フリーランス系女子

     

    単語レベルしか書けない学習者の場合は、上記のリンクで表示されるユーザーの一覧のなかから「在住」という言葉を見つけ出すだけでも大変ですから、Twitterの検索機能を使った後で、さらにブラウザの検索機能も使って、キーワードだけを強調表示させると良いでしょう。Chromeの場合は、コントロールキー(「ctrl」と刻印されてあります)とFキーを一緒に押すと検索窓が出てきますから、そこで「在住」などのキーワードを入れると、そこで表示されているユーザーの一覧のなかから「在住」という言葉だけ黄色くハイライトされて表示されるようになります。

    同じように「出身」とか「好き」などのプロフィール欄によくある語彙でTwitterを検索し、ひとつひとつ自動翻訳や辞書などを使って、そのユーザーの出身地や好きなものを調べていくといいでしょう。

    こうした活動の後で、実際に自分のプロフィールを書いてみると、第二言語習得でいうところの「大量のインプット」と「少しのアウトプット」が実現できます。

     

     


    短い文が書ける段階


     

    語彙だけではなく、短い文が書けるようなレベルの学生には、一般的な教科書で習う自己紹介でももちろんいいのですが、余裕があればTwitterでよく見かける文を紹介しましょう。

    たとえば、フォロワーを増やしてたくさんの日本人もしくは日本語話者とつながりたい場合は、以下のような文を入れると良いでしょう。

    • お気軽にフォローお願いします。
    • 気軽にフォローお願いします。
    • 気軽にフォローよろしくです。

     

    なかには「100%フォローバックします」とか「フォローバック」の短い形を使って、「100%フォロバ」などと書いてあるプロフィールもありますが、スパムばかり投稿している人などが多いので、僕はそういうことを書くように提案したことはありません。

    また、僕自身はこういうことは書かないのですが、一部のユーザーのなかにはフォローしたときは挨拶をするべきだと思っている人たちもいるので、以下のような文もかなり頻繁にプロフィール欄に見かけます。

    • 無言フォローOKです。
    • 無言フォロー失礼します。

     

    無言フォローOK」というのは、「気軽にフォローしてください」と大体同じ意味で、「あなたが私をフォローするときには挨拶しなくてもいいですよ」という意味です。逆に「無言フォロー失礼します」の方は自分が他の人をフォローするときに、「挨拶しないこともあります」とあらかじめお断りをしているわけですが、もちろん、誰かをフォローするためにきちんと挨拶するような学習者はこのようなことを書く必要はありません。

    どのような人と繋がりたいかをプロフィールの欄で明確にするのもいいアイデアだと思います。

    • 絵描きさんと繋がりたい
    • 写真撮ってる人と繋がりたい
    • ポケモン好きと繋がりたい
    • アニメ好きと繋がりたい
    • 軽音楽部と繋がりたい

    上記の例は実際に「と繋がりたい」でTwitterのプロフィールを検索した結果ですが、以下のリンクを開くと検索結果をご覧になることができます。
    https://twitter.com/search?f=users&q=%22%E3%81%A8%E7%B9%8B%E3%81%8C%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%84%22

     

     


    初級後半以降の段階


     

    Twitterのプロフィール欄はあまり文脈などがないので、初級後半でも辞書さえ使えばそれほど難しくありません。この段階でおすすめしたいのは、その学習者の関心のある分野の有名人を検索し、その有名人をフォローしている人たちの一覧を見ることです。たとえば、元SMAPの香取慎吾さんのフォロワーの一覧は以下のリンクをクリックするとご覧になることができます。
    https://twitter.com/ktrsngofficial/followers

    こうした一覧をご覧になると、実はプロフィールというのは非常に多様で、中には空欄になっている人も何人もいるということがわかるでしょう。その一方で、上にも書いた「勉強垢」という言葉を使っているユーザーのみなさんは、かなり詳しくプロフィールを書き込んでいることがわかると思います。実際にご覧になりたい方は以下のリンクを開いてください。
    https://twitter.com/search?f=users&q=%E5%8B%89%E5%BC%B7%E5%9E%A2

    こうした違いを認識することによって、自分にふさわしいプロフィールの書き方がわかってくるのではないかと思います。

    ただし、プロフィール欄を空欄のままにしている人たちは、おそらくすでに知り合いになっている人としかTwitterで繋がりたくないような人や、あるいは情報を収集するためだけに使う人たちで、もし、日本語学習者が他の日本語話者とツイッターを通して交流したい場合は、やはり今日ご紹介したような形でプロフィール欄を埋めておくことが必要ではないかと思います。

     

     


    参考文献


     

    「授業でTwitterなどを使っても大丈夫なのだろうか」とご心配の方は、以下のリンクを開いて、連載第5回目の記事「学習者の安全のために」をご覧ください。
    http://www.idobata.online/?p=616

     

    プロフィール変更方法 | ツイッター(Twitter)の基本的な使い方 – ツイナビ
    https://twinavi.jp/guide/section/twitter/step2/page2

     

     

    近刊紹介
    SNSで外国語をマスターする方法について筆者がまとめた書籍『冒険家メソッド』(ココ出版)が、近日刊行予定!!

     

    《筆者》村上吉文 冒険家。これまで、国際協力機構(JICA)や国際交流基金からモンゴル、サウジアラビア、ベトナム、エジプト、ハンガリーなどへ派遣されてきた。2017年5月からカナダのアルバータ州教育省に勤務。ブログ「むらログ」(http://mongolia.seesaa.net/)では、日本語教育とICTに関する記事や、教育機関によらず自らの力で日本語を学ぶ「冒険家」たちについてのインタビューを発信している。

     

     

    連載バックナンバー

    ソーシャル・メディアをめぐる冒険 第9回「行動中心アプローチとTwitter」

    ソーシャル・メディアをめぐる冒険 第8回「日本語教師のためのビデオ会議システム」

    ソーシャル・メディアをめぐる冒険 第7回「コミュニティを作ろう」

    ソーシャル・メディアをめぐる冒険 第6回「教師自身の学びのために」

    ソーシャル・メディアをめぐる冒険 第5回「学習者の安全のために」

    ソーシャル・メディアをめぐる冒険 第4回「教師自身が使いこなすために必要な第一歩」

    ソーシャル・メディアをめぐる冒険 第3回「自律性と一斉学習」

    ソーシャル・メディアをめぐる冒険 第2回「冒険家の実像」

    ソーシャル・メディアをめぐる冒険 第1回「なぜソーシャル・メディアか」

     

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