ソーシャル・メディアをめぐる冒険 第19回 Zoomをホストしよう

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【連載】ソーシャル・メディアをめぐる冒険〈毎月第4金曜日更新〉

第19回 Zoomをホストしよう

 

「日本語教育いどばた」の読者のみなさん、こんにちは。

先月はゲストとしてZoomに参加する方法をご紹介しました。 ID もパスワードも必要なく、ただリンクを開くだけでビデオ会議に参加できるので、少なくともゲストとして参加する立場の人にとっては敷居がとても低くなってきたのではないかと思います。

しかしこれはホストする側にとっても実は同じことがいえます。さすがに自分の ID やパスワードは必要ですが、 Skype などと違って一人一人のゲストの ID は必要ないので、リンクか会議室IDさえメーリングリストや SNSなどで共有してしまえばいいわけです。今月はその方法を具体的にご紹介したいと思います。

 

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1.アカウントを作る

 

アカウントを作るためにはまずZoomのサインアップ(アカウントの作成)のページに行ってみましょう。こちらです。

無料サインアップ – Zoom: https://zoom.us/signup

ここにアクセスすると現時点では「仕事用のメールアドレス」と表示されますが、遊びに使っている Gmail などでもまったく問題ありません。登録したメールアドレス宛てに確認のメールが届きますので、その中にあるリンクをクリックして、メールが間違いないことを確認します。時々ロボットなどではなくて人間がこの操作を行っていることを証明するために、「猫の写真を選んでクリックしてください」などというメッセージが表示されることもあります。

送られてきたメールの中にあるリンクを開くと、個人情報を登録するページが開かれます。といっても住所などは必要なく、名前苗字パスワードを入れるだけです。パスワードは数字とアルファベットが必要で、アルファベットには大文字と小文字の両方が含まれている必要があります。これらの条件はパスワードを入力する画面に表示されていて、入力したパスワードがその条件に合っていないと、その条件が赤い文字で表示され、どうすればいいかを知ることができます。

次に「仲間を増やしましょう」と言って、友達にZoomアカウントを作ってもらうためのページが開かれますが、ここは何もしないで「スキップ」というボタンを押しても問題ありません。僕自身もここはスキップしています。

スキップすると、次に「テストミーティングを開始」というページが開かれます。ここで「Zoom ミーティングを今すぐ開始」をクリックしてみてください。もしご自分の顔が写ったら成功です。左下のビデオカメラのマークに赤い斜線が入っていたら、ビデオカメラをオフにしているという意味ですから、そこをクリックしてビデオカメラをオンにしてください。

ごくまれにマイクやビデオカメラが認識されないことがありますが、その場合はマイクやビデオカメラをパソコンに挿し直すか、一旦Zoomから出て入り直すとほとんどの場合は解決します。ちなみにこのテストミーティングに使われている部屋は、みなさんご自身のアカウントに紐付けられた「パーソナルミーティング」という場所で、アカウントを作ってしばらくはここが主なみなさんの活動場所になることでしょう。

 

 

2.参加者を招待する

 

さて、当然ですがテストミーティングを開始しても、そこにはアカウントを作ったみなさんの他には誰もいません。ここで他の人と話すためにはそこにゲストを呼ばなければなりません。ゲストを呼ぶためには、10月の記事でご紹介したように、会議室へのリンクを送るか、会議室 ID という数字を送るという方法があります。パソコンの場合はリンクをクリックするだけでゲストに来てもらうことができますし、スマートフォンやタブレットの場合はアプリを開いて会議室 ID を入力すればその会議室に入ってもらうことができます。

会議室のリンクやIDを知るにはいくつかの方法がありますが、一番簡単なのはプロフィールページで確認することだと思います。

 マイプロフィール – Zoom: https://zoom.us/profile

このページでパーソナルミーティング ID という欄に「https://zoom.us/j/284830160」というようなリンクがあるはずです。そこにはこのリンクの他に9桁か10桁の「ミーティング ID」も記載されています。この番号とリンクを、招待したいゲストに送れば参加してもらうことができます。参加方法の詳細は先月の記事をご覧ください。

 

 

3.ミーティングを設定する

 

これだけでもう、セミナーを中継したり、遠隔地に住んでいる人とミーティングをしたりすることができます。簡単ですよね。ただ、Zoomでのミーティングに慣れてくると、会議室を分けたほうがいいと思うようになってくることがあります。いつも同じ会議室を使っていると、まったく違う目的で利用しているのに、前に招待したことがある人が入ってきてしまう可能性があるからです。

例えば、最近は「Zoom飲み会」というのも頻繁に行われていて、お酒を飲みながらばかばかしい話をしていることなどもあるのですが、そういう時に自分の学生や取引先の人が急に入ってきてしまったりしたら恥ずかしいですよね。

そういう事態を避けるためには、目的別の複数の会議室を設定しておくと便利です。パーソナルミーティング ID とは別に会議室を設定するには、「ミーティングをスケジュールする」というページに行って、 タイトルや日時などを設定した後で、「保存」のボタンを押します。保存ボタンを押したすぐ後に表示されるページに、「ミーティング ID」と「参加用URL」の2つが表示されますから、それをゲストに送れば パーソナルミーティングルームで話すのと同じようにZoomを使うことができます。

ミーティングをスケジュールする – Zoom: https://zoom.us/meeting/schedule

 

 

4.教育現場での応用

 

海外の地方都市に住んでいる人間としては、大都市に住んでいる皆さんがZoomなどを使って勉強会やセミナーをライブ配信してくれることが個人的には一番ありがたいのですが、Zoomはそれ以外にもいろいろな使い方が可能です。 Zoomの公式ブログが今年の3月に「Bring Zoom into your Classroom!」という記事を掲載したので、そこで紹介されている使い方をこちらにご紹介したいと思います。この記事では10例の使い方が記載されているのですが、以下の通りです。

  1. 教室外でスマートフォンなどを持っている人に中継してもらってバーチャルの遠足を行う。
  2. 特定の分野の専門家をバーチャルに呼んで話を聞く
  3. 世界中の他の教室とつなぐ。
  4. 学習言語の母語話者とつなぐ。
  5. 学習者が希望する職業についている人をゲストに呼んで話を聞く。
  6. 病気などで教室に来れない学習者をZoomで参加させる。
  7. 保護者などのステークホルダーと会議を行う。
  8. 学習者の補習をZoomで行う。
  9. 自分が病気などで学校に行けない時に、自宅から授業を行う。
  10. ペンパルとつながる。

日本語教育の関係者としては、3番目の「他の教室とつなぐ」というのが一番教室の文化を変えるのではないかと思っています。例えば日本語を勉強している海外の中学生のクラスと、英語を勉強している日本の中学生のクラスをZoomに招待して、一対一でペアワークなどをすれば、日本人とかカナダ人というカテゴリーではなく、一人一人それぞれが名前を持った個人であることを理解することができるのではないでしょうか。ぜひZoomを活用して、教室の壁を越えたグローバルな体験をみなさんの学習者の方にご紹介いただければと思います。

さて、一年半にわたって書いてきたこの連載ですが、とりあえず今月で一区切りをつけさせていただこうと思っております。 読者のみなさんと、アスク出版の、特にご担当くださった平井美里さんには改めてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました! この連載が多少なりともソーシャル・メディアを語学学習において利用するための指針となっていることを祈っております。それではまた逢う日まで。

 

 

参考資料

 

Bring Zoom into your Classroom!
https://blog.zoom.us/wordpress/2018/03/02/bring-zoom-into-your-classroom/

Zoom Help Center
https://support.zoom.us/hc/en-us

 

 

新刊紹介
SNSで外国語をマスターする方法について筆者がまとめた書籍『もう学校も先生もいらない!? SNSで外国語をマスターする《冒険家メソッド》』(ココ出版)がついに発売!!

 

《筆者》村上吉文 冒険家。これまで、国際協力機構(JICA)や国際交流基金からモンゴル、サウジアラビア、ベトナム、エジプト、ハンガリーなどへ派遣されてきた。2017年5月からカナダのアルバータ州教育省に勤務。ブログ「むらログ」(http://mongolia.seesaa.net/)では、日本語教育とICTに関する記事や、教育機関によらず自らの力で日本語を学ぶ「冒険家」たちについてのインタビューを発信している。

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